ヒンジ問題を考える
東芝ノートパソコンのヒンジ問題はdynabook EXシリーズのヒンジ破損が記憶にあると思います。
当時ネットオークションには多くのヒンジ破損ジャンクが出品されていたので、私は試しにそれを落札し、修理に出してみました。
するとヒンジが無償交換されて戻ったという話もあります。
無償修理交換は知らないと「損」をするということです。
このEXの不良はヒンジそのものの構造に欠陥があったためで、液晶の開閉を繰り返すにつれヒンジがもげてしまうというものです。
dynabook Tシリーズのヒンジ
今回私が何となくそれを思い出したのはヤフオクを見ていてT45 T55 T65などのシリーズのヒンジ破損が多かった下記のモデルです。
このモデルはその時ほど多くありませんが、何となく気になりますので、機器を仕入れ実験しました。
今回はヒンジ破損のT65(上記モデル)と姉妹機のdynabook B25を準備してそれぞれの構造を考えてみます。
dynabook T65のヒンジ構造
ヤフオクに出品されているヒンジ破損をみるとほとんど同じ破損状態で出品されていることがわかります。
下記のように何かの力に耐えられずヒンジ部のカバーが破損した状態が多いです。
ほとんどこんな感じで「ジャンク、訳あり、難あり」出品されています。
写真:ヤフオクより
そこでdynabook T65の構造を調べるとヒンジと天板が下記のように3点で固定していることが分かりました。
矢印は写真にもあるように液晶カバーを固定しているネジ止めですが、これもヒンジを固定しているネジになります。
カバーを外して状態を見ながら考えると、天板とヒンジを固定している下記の写真にある②のようなネジ止め金具が①のようにスポット抜けています。
上記矢印の液晶カバーのネジ止めも同じように金具が取れてしまっています。
下記が天板と一体になっていたネジ止めの金具になります。
中の構造上、かなりの力を加えなければ抜けません。
これがスポッと抜けているので、あのようなLCDカバーが割れたようになるというものです。
dynabook B25のヒンジ構造
一方の姉妹機であるdynabook B25のヒンジ部をよく見てみると、dynabook T65に比べて固定ネジが3列に並んでいます。
両方で合計6点でヒンジと液晶天板を支えているのはdynabook T65と同じです。
ですからdynabook B25はジャンクが少ない機種ですし、ヒンジ部破損ということでオークションで見かけません。
不思議なことは上記を見ても解るようにdynabook T65もdynabook B25のどちらもネジが左右6点で支えているにも関わらず、なぜ?このように違うか?
詳しいことは分かりませんが、ヒンジの硬さや、プラスチックの固定の方法など様々な要因が重なりあってこのような事象が発生するのかもしれません。
ヒンジ開閉のテストの映像がありましたので、ご覧ください。
この映像では液晶を均等な力で開閉していますが、現実は違いますよね。
左端を開ける人もいれば、右もいます。
液晶(LCDカバー)に加わる力も千差万別で異なるので、それを想定した方が良いです。
私が考える仮説
多分、当たっていると思いますけどね
数あるダイナブックをみていてわかることが部品の構造です。
力学的に考えると下記のようなことも考えられると思います。
dynabook Satellite B25は下記のように一列でヒンジを固定していますので、3点に均等に負荷がかかります。
一方dynabook T65は下記のように3点が均等ではないので、ヒンジの開閉で矢印の部分に負荷がかかってしまいます。
そうすると天板のプラスチック部と金具の強度に依存して破損に発展するのではないでしょうか?
LCDカバーのその部分の弱さもあるかもしれませんが、不特定多数の人がいろいろな使い方をするので、その力の入れ具合など、設計段階で考える力学的なことがあると思います。
そこでしょうか?
そういうと辻褄が合うような気もします。
ですからパソコンの設計は難しいと思います。