2016年10月5日に中国企業であるレノボ社の傘下に富士通が入る?という報道があった。
富士通、東芝、バイオの合併話も立ち消えになったが、その事実が逢ったことには変わりない。
従って国内企業の3社が生き残りをかけて動いているということは間違いないだろう。
だから、今回のレノボ傘下の話も満更嘘ではないと思うが、NECに続き、レノボの傘下に富士通が入るというのに多少違和感を感じる
そもそもレノボがNECを傘下にしたのは日本国内での事業拡大だ。
中国レノボ社の動向
NECの持つ国内のブランド力とサポート体制を学びたかったというのもその理由の1つに挙げられるだろう。
中国を拠点とするレノボ社はIBMのパソコン事業買収から始まり、サーバー事業、モトローラ社、NECパソコン事業などを次々と傘下にし、自社にない技術やノウハウを短期間でものにしてきた。
その背景にはブランド力とブランドが持つ様々な歴史を一気に自分たちのものにしたかったという狙いもあるのだろう
しかし、ここにきて富士通を傘下に入れるというのは少し理解に苦しむ
既にNECレノボジャパンの国内パソコン事業はある程度成熟していると思うが、さらに国内市場に強い富士通を傘下にしたことは何が考えられるか?
パソコン市場という縮小していくマーケットに於いて、なぜ富士通を傘下にしたのか?
恐らく、私が考えるに独占的なシェアである
敵がいないということは主導権を取ったことになり、今後パソコンだけに留まらずビジネスの裾のが広がるからだ。
そうしなければ、この時点で富士通を傘下する理由が見当たらない。
NECに無くて、富士通にあるものとは何か?
それは唯一富士通ブランドが守り続けてきた国内生産拠点だと思う
ここをレノボのワールドワイドな部品調達力で新たなビジネスユニットを作ることだろう。
日本人のもの作りに対する生産技術が欲しかったに違いない。
と私は考える。
恐らくパソコンに拘らない何かをレノボは考えているのだと思う
それしか考えられないというのが、正直な意見だ。
2015年パソコン国内出荷台数
NECレノボジャパン:27.1%
富士通:17.2%
東芝:12.9%
日本HP:11.4%
デル:11.0%
アップル:6.8%
ASUS:3.0%
その他:10.6%
この割合をみてもレノボ社は富士通を傘下にいれると国内の出荷比率の約半分を占めてしまう。
だが、拡大する市場ならまだしも、パソコンの市場は縮小傾向にある。
さらにレノボ社は富士通の400万台の生産能力を手に入れて何になるか?
疑問が残るだけだ。
東芝の魅力
では、この時点で東芝のパソコン事業にどんな魅力があるか?
客観的に考えると、ブランド力だろう。
腐っても鯛とよく言うが、サテライトブランドはまだまだ海外、特に北米では強い。
ダイナブックブランドは国内にしか通用しないため、既に成熟している国内市場にとって中国企業からすると全く魅力がない。
IBMのブランド以上に海外の東芝ブランドは強いと思う。
そう考えると、今後はパソコン市場は価格競争になるため、部品の調達コストが企業の勝敗を分けてしまうと言っても過言ではないだろう。
だからこそ、国内のパソコンメーカーの自立再建は難しいため、他社との協業は必要不可欠であると思う。
国内企業を守るためにも、東芝は富士通が身売りした今、バイオとの協業を早期に実現し、まずは外資の買収を阻止しなければならない。
この問題は単なる買収合戦には留まらず、今まで守り続けてきたに国内ブランドを単なる買収合戦で失うということになる
結果の世の中だが、この問題は意外と奥深いと思ってるのは私だけだろうか?
メーカーの垣根を超えて、日本ブランドを守ることも重要な時期だと思う。
今後の東芝の復活に期待したい。